「看護のための精神医学 第2版
この本には他のどんな精神医学の本には書かれていない目からうろこのようなことがたくさん書かれていて、当初は驚いた。
もちろん精神障害の方のそばにいる方やケアをする方には手元に置いておいてほしい本だ。
最近読んだのは
「徴候・記憶・外傷
である。
ぜひ、こちらも一読をすすめたい。
なにしろはじめて知るようなことが(精神医学界では知られてることかどうかわからないけど)けっこうあるのだから。
豊富な何十年(50年くらい?)という臨床経験から自分がしてきたこと、学んだことなどあますところなく、自分の下の医師や看護にあたる人たちに伝え、このように本にまとめてさらに多くの人たちが読むことができるというのはすごいことだ。
また自分が体験した神戸の震災経験も医者らしく細かい分析、観察をしてPTSDの症状について本にもたくさん書かれている。
「徴候 記憶 外傷」はトラウマとその治療とか統合失調症とトラウマ、外傷性神経症の発生とその治療の試み、外傷性記憶とその治療、統合失調症の経過と看護さらにその療法などがかなり大半をしめている。
ので非常に興味深かった。
私が驚いたのは自己服薬をしていたということ。
向精神薬について 薬を飲んで、体調を聞くのは内科医の仕事、薬の飲みごこちを聞くのが精神科医の仕事と書かれてあるように、薬に対する恐怖が最初は必ずあるので最初の一服はいっしょについているようにしていたそう。それだけで薬の量は減るらしい。
自分でも飲みごこちがどう違うのかサンプルの薬をずっと飲みつづけていたことは驚きであり、精神科医でないと出来ないことでもあるなあと思った。
個人差はもちろんあるけど、この薬のときは足を先にとられるとかこの薬を飲むと喧嘩っぱやくなるなどいろいろ書いていてすごいです、先生ーーという感じ。
あと病棟の臭いについて書かれてあるところがあり、(ちなみに中井先生は病院環境についてけっこう他の本でも書いている。光の取り方、使う色、植える木はこれがいいとか細かい)
病棟の臭いというのは精神科病棟と異なるかどうかわからないけど、
中井先生の話では「僕は患者さんと面接していて、あの臭いが突然患者さんから出るのを何度も経験しています。それは、患者さんが不安になったときの臭いなんです。あれはまったく人間の不安の臭いです。」ということ。
「こんなとき私はどうしてきたか」のほうもあまり他の本には書かれていないようなことが書いてある。
患者さんからの暴力の問題でひとつの章をとっている。
これは医療従事者が身を守るというより、どうすれば暴力をふるうことを習慣にしないでいけるかという視点で話され、暴力をタブーにしてはならないとおっしゃってるのがまたすごい。
ほんとに現場を感じる。
ひとつひとつ感心したことをあげればキリがないけど、このように役立つ情報だらけである。
私は別に病院で働いているわけでもないし、精神障害の方とそんなに多く接してはいないけれど、人間をみるまなざしのあたたかさというケアをする側の基本中の基本を中井先生の言葉からは感じられる。
そこに触れるだけで、こころが救われる思いだ。
精神保健カルタも笑える。(ときどき文章などからもユーモアのセンスのよさを伺えるが)
「ろ 論より実感」とか「は 母とはさみは使いよう」「る るんるんの後ろにクルマ」とかおもしろい!
中井先生はかなりうちの両親と同年代で、戦争体験もあり、エッセイ集などではよく戦争について書かれてある。
この年代にとって戦争とトラウマというのはかなり大きいものであるようで、貴重な体験者でもある。
なにごとも経験者に勝るものはないと思う。
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